番組審議会
第552回 番組審議会議事録 概要
1.開催日時
2025年11月12日(水) 正午より
2.開催場所
東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社
3.出席者
- 委員長
- :
- 但木敬一
- 副委員長
- :
- 岡室美奈子
- 委員
- :
- 井上由美子、小山薫堂、最相葉月、齋藤孝、サヘル・ローズ、舞の海秀平、三浦瑠麗
- 局側
- :
- 清水代表取締役社長、若生常務取締役、大野取締役、友岡常務執行役員、塚越常務執行役員、鈴木執行役員、大辻執行役員、藤井コンテンツ投資戦略局長、
若松第1スタジオ局長、濱第2スタジオ局長、内ヶ崎第3スタジオ局長、川野報道局長、吉田コンプライアンス推進局長、渡邉広報局長、現王園社長室長
番組関係者/渡辺ドラマ・映画制作センター部長、大野プロデューサー、西岡演出、中村編成担当
番組審議室/出澤室長、額田統括担当部長、大橋主任、穂積特別アドバイザー
4.議事
(1)番組審議
審議番組:『新東京水上警察』第一話(10月7日放送)
各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された
- 刑事ドラマではこれまでにない「風景」を感じた。水上警察が舞台になっていること自体が新鮮で、今までに見たことのないタイプのドラマ。新しい職業ドラマとして魅力も感じた。
- 水上警察というのは訴求力のある題材だと思った。実際、山下美月さんが船を操縦したり主人公らを追いかけたりする水上のシーンは、演出的にも新しく目を引くものがあった。
- 「水上警察」という設定に期待が高まったが、普通の警察の業務と変わらないという第一印象だった。せっかく特殊な舞台を作ったのだから、水上警察ゆえの特殊な機材、乗り物、架空にするなら面白い工夫をした要素・演出・小道具・美術を入れたらもっと盛り上がる。
- 「水上」という特殊な場所を舞台にしているので、もっと水、海、河川、気象に関する知識や知恵を視聴者に教えてくれるようなシーンが出てきてほしかった。
- 海技職員の通常業務である地味なパトロールのシーンを組み込むのもリアル。水上警察といってもパトロールが仕事なんだというところを正面から持ち込んでも、それはそれで良いのでは。
- ただ事件を解決するだけでなく、介護施設の問題や高齢者の孤独といった社会課題をつなげて物語が作られており、社会の片隅にある現実をさりげなく取り入れている点が良かった。
- 闇バイトとか介護施設とか今時の問題も取り入れているが、今時の問題を取り入れようとすると陸上の話になってしまう。海上にフォーカスすると、私たちが身近に感じている問題となかなか接続しにくい。そういうジレンマをどのように克服していくのか。
- 佐藤隆太さんは、やはり熱血キャラがフィットしている。ただ、佐藤隆太さんが重要な情報を得るのは電話が多く、ミステリーとしてはカタルシスを感じにくい。一生懸命探っていくところを丁寧に描いて、そこで熱血キャラを発揮できたら、主人公の行動を応援でき、もっと心情に寄り添える。
- 出演している皆さんの芝居も一人一人の向き合い方が良く、特に加藤シゲアキさんの呼吸で感情を伝えるお芝居が良かった。
- 山下美月さんがこのドラマのために一級小型船舶操縦士の免許を取られたということで、とても気合を感じる。ドラマ全体で、彼女は海を見ているからこその視点を持つ鋭いキーパーソンなのではないかと感じた。
- 山口紗弥加さんの位置付けがとても魅力的。理解力のある40代女性で、しっかりとした抑えになっていると思うが、結局彼女がどういう人なのか分かってこない。様々な立場、年代、ジェンダーの視聴者が共感できるポイントを考えると、自分と同じ性にも興味を引かれるような要素があったらもっと良い。
- 笑いの部分は主に皆川猿時さんが担っているが、テンポ感の良い笑いのシーンと、社会問題というシリアスな問題との組み合わせが、場面や役者さんのキャラクターによって、はっきりと区切られていて見やすい。
- 原作をベースにドラマを作ることにも限界があると感じることがある。水上警察という舞台は良いと思うので、原案だけ使わせていただきながらもすべてオリジナルで開発した方が良いのかなと思う。オリジナリティをもっと大切にしたドラマをどんどん作っていただきたい。
- 一話完結型ではないので続きが気になった。第一話の人間模様を説明しているシーンには特に興味を引かれなかったが、やはり事件性が出て、ミステリーの要素が入ってくるとだんだん引き込まれ、次から次へと見た。
- 第一話で始まったエピソードが第三話で完結することになっているため、初回は人物紹介に尺が割かれており、あまり決定的な出来事や心に響くことがなかったように思われた。
- 水上署と湾岸署との敵対関係という設定は、警察の内部であるのかもしれないようなことを良い意味で誇張し面白おかしく描いていて、ドラマの一つの軸のような感じで見やすかった。
これらの意見に対して、フジテレビ側からは以下のような回答があった
- 『新東京水上警察』という作品は、舞台設定の新しさを大事にしている。見た方がいろいろな感情になれるドラマ、いろいろな味のする作品にしたいという思いで作ってきた。王道を照れずにやることによって心を動かされる人がいるのではと話し合った上で進めてきた。
- 警察官と行政職員、それぞれのプロフェッショナルが互いの矜持、プライドをぶつけ合って成長していく人間ドラマを大事に描いている。
- 「水上警察ならではの知恵」については、海技職員という、船を操縦して河川や海の測量をしているチームが実在する。潮の流れや風の向きを測るプロフェッショナルのスキルが事件解決につながっていく話を作っているが、第一話には確かに入れていないので、ご意見を真摯に受け止めたい。
- 佐藤隆太さん演じる主人公の言葉はいわゆる昭和気質だけれども、令和の今かけられると心が揺れ動く、そんな言葉によってチームが引き上がっていく、それぞれが成長していくという物語にしている。チームのメンバー、一人ひとりの活躍がある物語を作っている。このキャストだからこそ撮れた絵が確実にある。
- 船の免許を取った山下美月さんも大変頑張ってくださっている。彼女が真摯に向き合って、船の勉強をして、実際に船を動かしているからこそ出る演技の熱量が伝わると良いと思っている。
(2)フィードバック:
10月の審議番組『凍った悩みを60秒で瞬間回答!』は、番組審議会の審議を以下のように受け止めたことを報告した。
- 「同じペース、同じテンポで単調にも見える印象もあった」
→裏技が連続して出てくる料理コーナーや、買い物ロケをしながらお得情報や裏技が出てくる企画など、幅広い展開を検討。また、VTR内に新しい出演者やお悩み解決をしてくれるエキスパートを増やしていくことで、見せ方を変化させていきたい。
- 「番組の情報が次から次へと早く流れていって後で振り返れない」
→SNSを通じたショート動画の投稿、ホームページの拡充なども図り、放送後に振り返って裏技を紹介できるような場所を作っていきたい。
(3)報告事項:
フジテレビから、以下について報告した
- 取締役の辞任について
- 日本民間放送連盟の役員への復帰について
- 「フジ・メディア・ホールディングス グループ人権方針」改定について
- 『酒のツマミになる話』の内容変更ならびに年内終了の経緯について
以上